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大阪高等裁判所 昭和32年(ネ)1030号 判決 1964年1月31日

理由

控訴人および日本電機製造株式会社が共同して被控訴人主張の約束手形二通を振出し被控訴人において現にこれを所持することは控訴人の争わないところである。

そこで控訴人の抗弁につき案ずるに、(証拠)を総合すると、控訴人が代表取締役をしている日本電機製造株式会社は昭和二九年三月二九日原田セメント化工株式会社からそれぞれ支払期日同年六月一六日、支払地、振出地大阪市、支払場所株式会社大和銀行野田支店なる額面二三五、〇〇〇円および二六五、〇〇〇円の約束手形二通(乙第二、三号証)の振出交付を受け割引依頼のためこれを丸信商事株式会社へ差入れたところ同会社より担保手形を要求せられたので、本件手形を右手形の担保として同会社へ交付したこと、被控訴人は右事情を知りながら、丸信商事株式会社から本件手形および右割引手形(乙第二、三号証)の譲渡を受けたこと(本件手形は受取人白地のまま交付を受けて被控訴人においてこれを補充し、右割引手形は日本電機製造株式会社の白地裏書を経ているものである)を認めることができ、これに反する被控訴人の主張事実を認める証拠はない。

すると右割引手形が期日に弁済されたこと当事者間に争わない以上、本件手形は担保の目的を失つたことになり、その担保たることを知つて本件手形を受取つた被控訴人においては、もはや控訴人に対し本件手形の請求をなしえざるに至つたものというべきである。

するとその他の点につき判断するまでもなく、被控訴人の本訴請求は失当であるから棄却すべく、これと異なる原判決は取消を免れず、本件控訴は理由がある。

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